ストアカで活躍する先生とストアカが、「先生のための、先生によるまなび」の機会を共創する「ストアカTeachersオープンカレッジ」の第10弾。
今回は、ストアカの月額サービスを使って、どのように月額コミュニティを立ち上げたのか、文章講座を中心にご活躍されている小川こころ先生に教えていただきます。
相互に生徒同士がコミュニケーションを取れるようなコミュニティの姿とは、どんな場所なのか?実際に始める上で検討したことから、やっていくうちに生徒の方とのコミュニケーションで変わったこと、もちろんどのように集客をしているのかといった普段は知ることができない月額の裏側までお話していただきます。
今回のオープンカレッジ講師を務めていただいた先生
小川 こころ先生
https://www.street-academy.com/steachers/31074
仕事が途切れない、元新聞記者の文筆家、ライター。
文章が変われば世界が変わる。ゼロから始める文章教室。
- 単発講座と月額コミュニティについて
- 「コース講座」から「月額コミュニティ」へ
- 立ち上げに踏み切った理由と、検討したこと
- コンセプトを決める:「書きたい人が集まるサードプレイス」
- コミュニティの目的を決める:タイプの異なる2つの部屋
- 活動内容・月額料金を決める
- お知らせ機能で、2回に分けて告知
- コミュニティを運営していくうちに、見えてきた課題
- 思いきってメンバーに相談「どんなことを思っているか、どんな場にしていきたいか」
- 10ヶ月続けてみて、どう感じているか
単発講座と月額コミュニティについて
(小川先生)2016年にストアカに登録して6年、まず、私がどんな単発講座を開催しているかについて、ご紹介します。
講座は、「ゼロから始める文章教室 最初の一文ですべてが決まる!」、「ゼロから始める文章教室 五感を使って読ませる・伝わる文章に」、「たった五行で説得力のある文章に!すぐに使えるコラムの書き方入門」、「読むだけの人から伝える人へ!ブックレビューの書き方入門」、「文章が変われば人生が変わる。相手を本気にさせる文章教室 入門編」、「はじめての絵本制作ワークショップ」という6つの単発講座をメインにやっています。
なかでも「文章が変われば人生が変わる。相手を本気にさせる文章教室 入門編」が全ての講座の導入的位置で設定している講座で、1時間1,500円です。お値段としてもこちらをなるべく安く設定することで、「文章を学んでみようかな」という方に入っていただけたらと思っています。
このほかの講座は、しっかりと向き合って皆さんの文章スキルを磨いていきたいということで、全て2時間半で5,480円に設定しています。マックス4人という少人数で、しっかりとその講座内で文章を書いていただいて、添削して、こういうところをこうしましょう、という部分までお伝えし、本気で向き合っています。
そして今日の本題、月額コミュニティについてです。月額コミュニティで何をしているかというと、2つのコミュニティをやっています。
1つは「書きたい人のコミュニティ『青猫とペン』文章表現ルーム」、もう1つは「書きたい人のコミュニティ『青猫とペン』作品制作ルーム」というタイトルで、2つ毛色の違うテーマのコミュニティを用意しています。
今日は、こちらについてじっくりお話ししていきたいなと思います。
「コース講座」から「月額コミュニティ」へ
私がどうやって月額コミュニティを立ち上げることができたのかについて、初歩のところをお伝えしていきます。
まず、コロナ前、私は対面式の月額講座「月イチ文章教室」というものを展開していました。「STEP1」「STEP2」などの複数コースを月に1回×6ヶ月を一区切りにして、3年ほど運営させていただいていました。春コース、秋コースなど、季節によって生徒さんが入れ替わったりしていたので、累計受講者数で120人くらいでした。
その後、コロナ禍に入ってからは、皆さんからも「オンラインでできないんですが」というお問い合わせをいただくようになったので、オンラインによるコース講座「月イチ文章教室」を展開しました。これも対面の時と同じようにレベル分けし、月に1回×6ヶ月を一区切りにして、だいたい1年間運営し、累計受講者数は100人ほどとなりました。
ここでリアルとオンライン、2つのコース講座を開講したことで、リアルとオンラインの特徴について見えてきたものがありました。
まずオンラインのメリットは、居住地や移動時間、交通費などを気にせず、多くの方が気軽に参加できるようになったことです。これは本当にオンラインの素晴らしいところですよね。
一方デメリットは、リアル開催のときは当たり前のように生まれていた雑談やコミュニケーションの時間がほとんどなくなって、メンバー同士のコミュニケーションが難しいなと感じるようになったことです。コース講座は6ヶ月1区切りなので、ようやくお互いに理解し合えるようになったかな、と感じる頃に終わってしまうんですね。なんだかちょっと、このままオンラインでやっていくのもどうなのかな?と私の中で疑問が生じ始めていたところでした。
そこで私は、コース講座の開催を中止し、「月額のオンラインコミュニティ」を立ち上げることにしました。もちろん簡単に立ち上げられたわけではなくて、そこにはいろいろありました。
立ち上げに踏み切った理由と、検討したこと
立ち上げに踏み切った理由として、大きく2つあります。
まず、自分の文章をみんなの前で発表して、意見を伝え合って、それでスキルアップしていくことを目指しているので、そのためにはただ淡々とカリキュラムをこなすのではなくて、「メンバー同士が認め合い、受け入れ合い、リラックスして参加できる場」があってこその文章の上達の場だなと感じていたので、そのためにはコミュニティがいいんじゃないかと考えるようになったことです。
また、もう1つ理由があります。それは、開催期間が決まっているコース講座ではなくて月額サービスを使えば、学びが継続しやすいし、仲間とのコミュニケーションや信頼関係も育みやすく、自分らしさを発揮しやすいんじゃないかな、そんな居心地のいい場づくりができるんじゃないか、と期待をしたんですね。これがオンラインコミュニティ立ち上げに踏み切った理由です。
でも、まだ立ち上げにあたって検討しなきゃいけないことたくさんあるなと思いました。たとえば、サロンにするのか、ワークショップなのか、講座なのか。これだけでも月額サービスってできる範囲が広いので、その中でもどの方法でやっていくのかはちゃんと考えなきゃいけないんですね。
あとは、開催する曜日や時間帯、無理なく参加できる料金はどれぐらいがいいのかな?どんなふうにすれば皆さんが無理なく、毎月来ていただけるんだろうって考えました。
これらを私は自分だけで考えず、皆さんに聞いちゃおうと思いました。受講生さんに事前にヒアリングをしたんですね。仲良くなったコース講座の生徒さんたちに実際にお会いして「どんな風にしたら盛り上がるかな」「どんな内容だったら来てみたい?」そんなことを実際に聞いてみたり、あとはストアカの「お知らせ配信機能」を使って、これまでいろんな講座を受講していただいた方に、「コミュニティに参加するとしたらどんなことをやりたいですか?」とアイディア募集をしたりしました。
そうしたらけっこう皆さんいろんな意見をくださいました。面白い意見がたくさんあって、参考になったんですね。
あとは、ストアカのスタッフさんにも相談しました。ちゃんとすぐ答えてくださって、「コース講座とここはどう違うんですか」「コミュニティだとこんなことはできるんですか」など、自分の迷いが払拭されるアドバイスをいただいて、「やってみようかな」と思えるくらい、なんとなく形が見えてきました。
コンセプトを決める:「書きたい人が集まるサードプレイス」
まず最初に、コンセプトを考えました。私は、
「書きたい人が集まるサードプレイス」をつくる、とかなり意気込んで決めました。
サードプレイスって何かというと、プライベートな「家庭」やフォーマルな「職場」とは異なる、「居心地がよくて、自分らしさを出せる第三の居場所」です。サードプレイスを持つことで、心に余裕が生まれて、自分を見つめ直す時間ができて、人生がより豊かになると今注目されている言葉です。
サードプレイスには、こんな特徴があります。
- 職業や年齢、居住地などが異なるさまざまな人と出会い、会話や交流を楽しむことができる
- 家庭や職場では得られない、リラックス・リフレッシュ効果があり、多くの学びや刺激を受けることができる
- 新たな価値観や選択肢が増え、その後の生き方に変化をもたらす
サードプレイスは受講生さんにとってはもちろん、講師の自分にとっても、今後こういう場所が必要なんじゃないかなと思っていたので、そういう場をつくれたらいいなと、まずそんな思いからスタートしました。
コミュニティの目的を決める:タイプの異なる2つの部屋
次に決めたのが、コミュニティの目的です。タイプの異なる2つの部屋を私は設定しました。一つは、「書きたい人のコミュニティ 文章表現ルーム」。これは、エッセイやコラム、インタビュー記事など、さまざまな文章体験を重ねながら、体系的にライティングスキルを学んで身につけていく場所として名付けました。
そしてもう一つは、「書きたい人のコミュニティ 作品制作ルーム」です。どちらかというと文章表現ルームがスタンダード、作品制作ルームはアドバンスという感じです。企業や自治体などが募集するエッセイやコラムなどの文章表現コンテストにどんどん積極的に応募していこう、作品執筆していこうというチャレンジの場所です。
こうして場所が2つできたので、次は交流の拠点を考えて私は、Facebookの非公開グループを選びました。候補には、Facebook、LINE、openchat、Slackなどいろいろ浮かび、どれがいいんだろうなと迷いました。
最終的にFacebookの非公開グループを選んだ理由としては、参加を予定してくれていたメンバーがFacebookのアカウントを持っている方がけっこう多かったことです。なので最初のハードルが低いということがあって、いいのかなと思いました。あとは、ディスカッションやイベント機能が充実しているので、私のやりたいことに使える機能が多いのもありました。このほかにも、ワークショップで使うWordやPDFなどの資料を共有しやすいことや、メッセンジャーを使って一人ひとりとの個別のやりとりも簡単にできることなどもあって選びました。
活動内容・月額料金を決める
この後、活動内容や月額料金を決めました。活動の主軸を考えた時に、月に1回のオンラインワークショップ参加、これを軸にやっていきたいなと考えました。
それぞれのルームにおいて、ワークショップは月に2回開催しています。平日の夜と、日曜日の午前中です。どちらも同じ内容なので、皆さんには都合のいい方にご参加いただいています。もちろん、両方参加していただいてもOKとしています。
また、月に1本、テーマに合わせた文章課題を作成いただき、ワークショップの際に一人ひとりの作品を合評していきます。講師によるアドバイスや講評だけではなくて、メンバーからも感想や意見をもらうようにしています。ワークショップ中にも簡単なワークを用意しているので、課題は忙しくてできなかったという方でも問題なく一緒にご参加いただけるようにしています。
ほかには、Facebook非公開グループ内で開催している投稿型コンテンツに自由に参加していいよ、としています。たとえば、自分の最近読んだ本を紹介したい時に「200字レビューの投稿部屋」に上げてもらったり、「“こんな記事、書きました”の投稿部屋」で実際に書いた記事のURLや文章を投稿してもらったりしています。
そして月額料金については、3,800円(税込)にしました。この料金も皆さんに聞いて、決まっていったんですよね。これはコース講座と違って、「いつまで」というのが決まっていない分、皆さんが無理なくお支払いいただける金額がいいので、私が決めるよりは、皆さんが「この金額だったら無理なく、気持ちよく、毎月来れるよ」という金額をぶっちゃけて聞いてしまって、そしたら大体この金額というところに落ち着いてきたので、「じゃあ、この金額で行ってみよう」と決まりました。
お知らせ機能で、2回に分けて告知
いつから始めるかについては、私の場合は、著書の出版記念としてスタートすることにしました。何かに合わせて決めちゃうのは、大事だなと思います。
メンバー募集の告知はどうやったかというと、ストアカの「お知らせ配信」機能で、開始の3週間前に1回配信して、もう一回は開始当日に「本日から開始しています、皆さんいつでも入ってきてください」と2回に分けてお送りしました。こう見るとギリギリでいいんだなという感じがするかもしれませんが、私の場合は1ヶ月半くらい前にヒアリングをしていたり、対面講座でお会いした方に直接ご案内したりしていましたので、知っている方はたくさんいた状況でした。
初回がどんな風になったかというと、スタート月の参加人数は18人でした。
「文章表現ルーム」はほとんどの方が単発講座をきっかけにという方、特に複数の講座を受けてくださったうえで来てくださっている方が多いです。何度も皆さんにお会いするチャンスがあり、受講者さん側が「この人だったら」と判断してくれる機会があるので、やっぱり単発講座も複数用意しているのが良いのかなと思いました。
「作品制作ルーム」はほとんどの方がコース講座をきっかけにご参加いただいています。
コミュニティを運営していくうちに、見えてきた課題
こうしてスタートしたオンラインコミュニティでしたが、運営していくうちに、浮かび上がってきた課題がいくつかありました。
まず、活動に軸となるワークショップでは、メンバーの皆さんがなるべく発言できるように工夫し、ブレイクアウトルームなども使ってお話の機会を設けようとしてきたつもりでしたが、気づくと講師が一方的に語る画面が多くなり、コミュニティというより講座みたいな雰囲気になってしまっていました。
もう一つ気づいたことは、習熟度や成長が確認しにくいということです。コース講座の場合はカリキュラムが明確に決まっているので、受講生さんは自分の習熟度であったり、成長具合、ゴールに向けてこういうことをやらなきゃななど方向性が確認しやすかったと思います。でも、コミュニティは出入りが自由な分、集中力やモチベーションを維持しにくい傾向があるのかなと思いました。
思いきってメンバーに相談「どんなことを思っているか、どんな場にしていきたいか」
じゃあどうしたらいいのかと、一人で考えていても仕方がないんですね。コミュニティは皆さんと作っているものなので、思いきって皆さんに聞きました。「もっとコミュニティを充実したものにするには、どんなことを望んでいますか?どんな場にしていきたいですか?」とお聞きしました。
そうすると、
- ワークショップは充実しているけど、オンラインだと自由に声を出しにくい
- せっかく素敵なメンバーが集まっているので、もっとお互いの交流を深めたい
- 自分の成長具合、これから何をすべきかという課題が分かりづらいので、時々、講師と個別に話せる機会があったらいい
など、ものすごくありがたいコメントをいただくことができたんですね。目から鱗で、そうすれば良かったのかとたくさん気づきがありました。
その中でも私が対応できそうなこととして生まれた企画があります。たとえば、「フリートークの時間」を作りました。ワークショップが終わった後に、自由なトークの時間を作って、ワークショップとは関係ない、映画やスイーツの話など、ゆるい感じでやりましょうとお話ししたところ、すごく盛り上がったんですね。今まで見たことのない皆さんの笑顔が飛び交っていて、「これだ」という感じでした。
もう一つは、「個別フィードバック」という企画です。3ヶ月に1回を目処に、Zoomを使って一対一で、文章に関する今の悩みや、今までの作品を見てのアドバイスなどをお伝えしています。
このような試みをするようになって、コミュニティがどんどん変わっていきました。
10ヶ月続けてみて、どう感じているか
現在はメンバー数としては、25人いらっしゃいます。毎月の退会者が1人から2人いらっしゃって、新規の入会者も大体1人から2人いらっしゃる感じです。
実は、退会者の通知が来るたびに、私は毎回へこんでいたんですよ。でもお話を伺ってみると、「仕事が忙しくなって、落ち着いたらまた戻ってきます」という理由など、オンラインの良いところとして、気軽に出入りできるところがあるんだなとわかりました。
そして10ヶ月続けてきた私が今感じていることとしては、月額コミュニティはその場限りで完結する講座とは、別物を考えていただいた方がいいと思います。特に、「オンラインならではのサードプレイス」というものをどう構築していくかが鍵になります。
私自身、まだまだへこむことや悩むこともありますが、それを上回る価値があると感じています。4つに分けて、言語化してみました。
- 月額コミュニティは長くお付き合いができ、メンバー一人ひとりの成長や変化を間近で見守りながら応援していくことができる
- 自分自身のスキルやノウハウを体系的に編集し、ストックできる
- メンバーの作品がコンテストで受賞したり、クライアントや職場で評価されたりすると、自分のことのように嬉しい
- メンバーとの絆や信頼が深まり、自分の本業(文筆業)において、一緒に仕事をすることができるようになる
私自身、オンラインコミュニティを続けてきてよかったな、人生において幸せで大事にしていきたい場所ができたという感覚があり、いろいろな仕事をやるうえでも原動力になっています。
皆さんと一緒に、これからもコミュニティ運営やっていきたいなと思います。
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小川先生、ありがとうございました!小川先生も今なお、試行錯誤されながらコミュニティを運営していらっしゃるんですね。先生冥利に尽きるとのこと、ジーンとしちゃいました。ぜひ、一人でも多くの先生に、月額コミュニティ運営、チャレンジして欲しいです。
▼小川こころ先生の代表講座
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詳しい講座の様子は動画に納めていますので、YouTubeも合わせてぜひご覧ください